伝統文化と地域再生の未来を語る

― 観世流シテ 八田達弥 × 株式会社清丸 代表 堀越清和 ―

千葉県鹿行水郷地域において、能楽文化の普及と継承を目的として活動する「鹿行水郷 能の会」。
同会の理事長であり、観世流シテとして舞台に立ち続ける 八田達弥(重要無形文化財総合認定者)氏 と、
同会を支援する 株式会社清丸代表取締役堀越清和 が、「伝統文化と地域の未来」をテーマに語り合った。

■ 「能楽は地域の宝」―八田氏

八田氏は、まず能の魅力についてこう語る。

「能は、単なる古典芸能ではなく、日本人の精神や美意識そのものです。
この鹿行水郷の地で、子どもたちや地域の皆さんが能に触れられる機会を増やしたい。」

能の稽古や公演はもちろん、近年増えている学校でのワークショップ、体験会についても触れ、
「伝統文化は、舞台上だけで完結するものではなく、地域とともにあるものだ」と強調した。

■ 「壊す仕事から、文化を“守る”仕事へ」―堀越氏

一方、清丸の堀越氏は、会社として伝統文化を支援する理由について語った。

「私たち清丸は、解体や産廃など“壊す”ところから新しい未来を生み出す会社です。
その一方で、残すべき文化は絶対に壊してはいけない。
地域の文化を守り、次世代に手渡すことは、企業としての大切な責任だと考えています。」

事業としての循環型農業や環境保全と、文化をつなぐ姿勢が共通している点にも触れ、
「地域は文化によって豊かになる。企業の役割はそれを後押しすること」と言葉を続けた。

■ 文化が地域をつなぎ、人を育てる

対談の中で、二人が特に意見を一致させたのは、
「文化活動は地域をつなぎ、未来を担う子どもたちを育てる」という点である。

八田氏は、能の稽古を通じて得られる礼節や集中力、
そして“美しいものを美しいと感じられる心”の重要性を語った。

堀越氏は、能楽公演や体験会を通じて地域が一つになる実感を述べ、
企業として文化活動を支える意義を改めて感じたという。

■ 「鹿行水郷 能の会」の未来

八田氏は、今後の展望として次のように語った。

「公演だけでなく、子ども向けの体験講座や学校連携を広げたい。
そして地域の方々が“自分たちの文化”として能楽に親しんでほしいですね。」

これに対し堀越氏も、

「清丸としてできることは全力で支援したい。
この地域全体で文化を盛り上げていける未来をつくりたい。」

と強く共感を示した。

■ 結びに

鹿行水郷地域に根づく文化の灯を絶やさず、
次の世代へ確実に手渡すために。

伝統文化の象徴である能楽と、地域インフラを支える企業が手を携えることで、
新たな地域文化のステージが生まれつつある。

「文化は地域の宝であり、未来への贈り物」――
二人の言葉には、その想いが静かに、しかし力強く込められていた。

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